しもやけって、良くなるの? 皮膚科医師の治療は有効なのか?

小児によくみられる“しもやけ”は医学的には“凍瘡(とうそう)”と表現されます。皮膚科の病名はこのように見たこともないような難しい漢字が当てられていることが多く、普通には読めないとも思います。

皮膚科の疾患としてしもやけを調べると、「  しもやけ(霜焼け、凍瘡)とは、冷えによる血液循環の悪化が主な原因で、寒冷時期に手足の指や耳など体の末梢部分が赤紫色に腫れるものです。」と記載されています。整形外科医なのですが、手指や足趾の痛みの診療をしているので、しもやけと思われる症状を相談されることも少なくありません。しかし、開業前後に経験した凍瘡の治療はなかなか明確な症状改善がえられることはまれと感じていて、「しもやけはなかなか良くならないんだよね。」と言って、ごまかすように血液循環の改善治療薬とやはり血液循環改善の外用薬を処方していました。

数年前に医師のインターネットサイトで、ある皮膚科開業医が「凍瘡に利く薬は○○しかないと思っている」と言っているを閲覧して、それを試してみましたが劇的改善がえられるので驚きました。

その症例を提示します。長年膝痛で通院されている81才のTさんです。

令和4年12月15日に両足趾(そくし)のしもやけの相談を受けました。右足趾は軽症なので写真は提示しません。

81才Tさん フォト1.jpg

血液循環を改善するリマプロストアルファデクスという長い名前の薬を1日3回計3錠と、前記の○○という薬剤を7日分処方しています。○○とはステロイドでプレドニゾロン2.5㎎を3回3錠を処方していますが、2週間後には劇的に症状は改善しています。それまでの凍瘡治療では経験したことのない経過でした。9日後の再診時には腫脹と痛み・かゆみは消失したとのことですが、念のため同処方を1週間追加していて、処方は2週で止めています。

凍瘡となった患者さんは、また寒い時期には病状が再発するのではないかと心配するのですが、必ずしもそうではないようです。

83才Tさん フォト2.jpg

Tさんからはそれ以後、しもやけの相談は受けていません。

Tさんの治療経験以後、私が凍瘡と診断した症例には、リマプロストアルファデクスとプレドニゾロンを適応しています。

次の症例は、67才の女性で数年来当院で慢性関節リウマチの治療を続けている主婦です。

令和7年2月18日にリウマチの治療のついでに両手指のしもやけの相談を受けました。2か月前からのしもやけで、1か月皮膚科に通院したけれどほんの少ししか良くなっていないということでした。手を見て、私は「うわっ」と感じてしまうような状態で、早く良くなってほしいと感じて当然だなと思いました。

67才Aさん フォト1.jpg

皮膚科では血液循環改善のためのビタミンEの経口薬と同じ薬剤の外用薬が処方されていました。当院での処方はリマプロスト~とプレドニゾロン2.5㎎3錠で、まず1週間処方しました。

67才Aさん フォト2.jpg67才Aさん フォト3.jpg

右手はほぼ正常化しており、左手も一定改善いると判断します。2か月間初診の状態で来たのですから、この治療で良くなりそうだと受け止めてもらえる経過だと思います。治療を継続しました。

67才Aさん フォト4.jpg

写真は提示していませんが、左手も多少の改善をみていた3週後の3月3日の診察で患者さんから、3月29日に結婚式があり和装で出席したいので、それまでに良くしたいという意向の表示がありました。そうなんだと思いつつ、プレドニゾロンの副作用を考慮して、プレドニゾロンは2.5㎎錠から1㎎に減量し、クロベタゾールという外用薬を追加適応しました。4週後の3月17日には左手もかなりの改善をみていると思いますが、患者さんは「まあ、満足」とのことでした。リマプロスト~とプレドニゾロン1㎎3錠とクロベタゾール外用を継続しています。

3月29日の結婚式が終了して、治療開始後6週の3月31日の状態ですが、左手もほぼ正常に近づいたと評価されます。結婚式には和装で出席されたそうです。

67才Aさん フォト5.jpg

治療は8週の4月14日まで続けて終了としました。4か月後の6月10日の両手の状態です。

67才Aさん フォト6.jpg

以上のように、皮膚科で一般的に行われているしもやけの治療よりも、当院の治療はかなり有効ではないかと考えています。

しかし、しもやけと思っても実はしもやけではない症例もあり、そこはしっかりとした診断と経過観察が必要です。そのような症例を2例、提示します。

40才男 フォト1.jpg

40才の男性で自動車整備の仕事をしている方です。令和8年2月14日に当院を受診されました。令和2年10月より右第5趾の腫れが続いているが、特に痛みはないとのことでした。腫脹の状態をみるとしもやけではないかと感じます。しかし、10月に発症していて、特に寒さが厳しい時期ではありません。また、しもやけは通常、痛い、痛痒(かゆ)いという症状があります。凍瘡とは診断しがたい経過と症状です。整形外科医ですから、外傷により腫れが起こって受診する患者さんを日常的に診ています。一応レントゲン撮影を行っています。

40才男 フォト2.jpg

すると、拡大図では右第5趾の末節骨は軽度足底側に肥厚している(左の健側は骨が凹んだ形状ですが、右は膨らんだ線となっています)ことが確認されました。これは骨にひびが入り、その治癒により骨が肥厚した状態です。私は、右足を何かにぶつけて痛かったことはないですかと質問すると、10月に柱の角に右第5趾をぶつけて痛くて、ある整形外科を受診したが、異常ないと診断されたということを思い出してくれました。レントゲンでは正確には診断できないような骨折があり、しっかりとした治療がされなかったために5か月経過しても腫脹が続いているという状態と理解されました。

次は49才の事務職の女性の方です。令和8年2月25日に右小指の指先の腫脹と痛みが発症し、3月7日に受診され、私は凍瘡と診断し、治療を開始しました。

49才女 RA誤診フォト1.jpg

最初、服薬で症状軽減の傾向となりましたが、服薬継続していても3月28日の3週後には再発傾向となり、プレドニゾロンを増量するも、5月9日には左示指のMP関節にも痛みが発症し、夜間不眠となりました。

49才女 RA誤診フォト2.jpg

左示指MP関節痛が発症した5月9日より慢性関節リウマチと診断し、その治療にも難渋しましたが、7月4日より生物学製剤という薬剤の注射を適応して症状の軽減がえられました。初診時から2か月は凍瘡と診断しても仕方のない症状であったと思っています。