ながさわ整形外科 医療法人ピーチパイ

疲労骨折について 骨(骨折)の痛みは安静をとらないと治らない

42才の男性です。令和4年3月19日に当院を受診されました。半年前から右膝痛と張る感じが続いているということでの受診でした。階段の昇降でVAS2~4の痛みがあり、子供を抱いての階段昇降はVAS6の痛みであるということでした。半年前まではダイエットのために週に3~4回30分ほど縄跳びをしていたとのことですが、右膝痛で止めたそうです。

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レントゲン像の赤丸部分を痛がっていました。レントゲン像では異常は認められません。

半年も症状が続いているのですから、何らかの異常がないはずはないと判断します。MRI検査を行えば、異常を把握し診断することが可能となることが通常です。

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MRI検査(STIR条件)では右膝の膝蓋骨の上部が白くなっており、疲労骨折の所見でした。一度発生した疲労骨折の痛みは、発症原因の縄跳びを止めても、普通の日常生活だけでも改善しなかったのです。疲労骨折は運動部の中学生や高校生にみられる骨損傷で、運動を休めば普通は治っていきます。

投薬も行いましたが、患者さんには安静を意識してもらうことが必要ですと説明しています。お子さんを抱いての階段昇降で痛みが増強するのですから、それはしない。重い物を持つことを控える。お子さんを抱っこすることも重量物を保持するのと同じ効果です。1か月程度は走ったり、長く歩いたりしないというアドバイスです。

42才男 半年続く右膝痛・4週後MR.jpg

4週間後のMRI検査では膝蓋骨内の高輝度(白い状態)は軽減し、通常の骨に近づいています。痛みも軽減しています。

この患者さんで注目すべき点は骨の損傷を起こした場合、その修復が図れるまでは(正確な診断を受けて)安静を意識しなければ、痛みは軽減していかないということです。