ながさわ整形外科 医療法人ピーチパイ

右胸部痛で仕事が困難となった22才の男性

22才の男性で製造業に従事されている方です。週に1回バレーボールを続けています。

X年1月15日(水)にいつものようにバレーボールを行い、当日は特に痛みはなかったそうです。

1月16日朝より右下位の前胸部痛が発症し、17日に業務が困難ということで当院を受診されました。

レントゲン像では異常はありません。最も考えられる診断としては右肋骨の疲労骨折ですと説明し、疲労骨折はMRI検査でしか診断できないことを伝えると、患者さんは希望されたため、

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1月18日にMRI検査を施行しました。MRI検査で肋骨の疲労骨折の所見が確認されなければ、胸椎の椎間板ヘルニア等を疑うこととなります。

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MRI検査では右第8・第9肋骨の前方先端部分に高輝度(健側左側と比較して白く描出される)所見が確認され、、疲労骨折と診断されました。

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縦方向のMRI所見で、2か所の肋骨に高輝度所見が目立ちます。その上の肋骨も軽度の高輝度を示していますが、それは健側も同様で病的な状態とは評価しません。

薬の処方をしましたが、1月24日に出勤するも痛みで早退したということで、26日まで休みをもらったということでした。

2月4日の再診では2日間は出勤したけれど、その後2日は休んでいるということで、2月いっぱいの休職の診断書を希望されましたが、私は記載しませんでした。

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2月24日のMRI再検査では疲労骨折を起こした部位の高輝度所見は改善していると評価します。

この患者さんはずっとバレーボールを続けてきたわけですが、なぜ1月15日のバレーボールで疲労骨折を発症したのかについては、特にエピソードもなく説明できません。

ホームページ最初の診療の指針1で示した症例もそうですが、経過や訴えだけでは訳の分からない痛みの一つである疲労骨折はMRI検査でしか診断できません。