ながさわ整形外科 医療法人ピーチパイ

乳児の頭のゆがみ ピーチパイは保険診療で対応

整形外科医となって40年ずっと

乳児の検診に携わってきました。

乳児検診をしていて、

とても気になってきたのは赤ちゃんの頭部の変形です。

頭部の変形があると、

首の座っていない赤ちゃんは変形して平らとなった頭部を

下にして寝てばかりいることになり、

その変形が固定化してしまいます。

写真のMちゃんは頭部変形があり、

右側ばかりを向いている赤ちゃんでした。

美桜ちゃん.jpg

日本大学小児科の調査では、

生後1か月の時点で約7%の赤ちゃんの頭に

重度のゆがみがあり、

生後4〜8か月ごろに重度のゆがみがあった赤ちゃんは、

約3か月経過した後も約7割の方が

重度のゆがみままであったと報告しています。

近年乳児の頭部変形に対して

ヘルメットを適応した治療が行われるようになっています。

以後、この病態を乳児斜頭症と呼びます。

くるむフィット2

インターネットでの医学講演でこの治療法を知った私は、

Mちゃんに対して

当院でヘルメット治療を行おうと考えました。

治療用ヘルメットを製造しているメーカーは

3社ほどあるのですが、

その治療は保険診療ではなく自費診療の対象です。

各社に問い合わせると3社のヘルメット治療は

50〜60万円の治療費が設定されていて、とても驚きました。

親御さんが50万円以上をかけて

お子さんの斜頭症の治療を行うかは、

非常に困難な判断だと私は思います。

私の感想は、人の弱みにつけ込んだ暴利をえる

医療ビジネスだと感じました。

ここからは私の乳児斜頭症への私の見解と、

診療経験を伝えたいと思います。

50cmぐらいで生まれた赤ちゃんは

1年で75cmほどに成長します。

2年目以降は10cmぐらいの成長です。

生後1年間は極めて大きな骨の成長能力があります。

このような成長を示すのは生後1年のみです。

生後1年間赤ちゃんは大きな骨形成能力をもっているのです。

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おそらく本来頭部の骨は

丸く成長しようとしていると推察されます。

しかし頭部の変形があり、ある部分だけ接地していると、

自分の頭の重さで成長は抑制されることで

頭部のゆがみが残ってしまう原因となると私は考えます。

当院ではMちゃんにリュックサックを背負わせて

治療することにしました。

頭部を寝具から浮かせる状態を保っていると

頭部は円形に発育していくのではという考えです。

リュックサック療法2-b.jpg

Mちゃんの頭部は重度のゆがみとされる評価でしたが、

2か月でほぼ正常の形態となりました。

Mちゃんの経過.png

診療費は通常の診療費と、

市販の頭部保護の転倒防止クッションで

2000円もかかりません。

赤ちゃんの頭部のゆがみが気になる方は

ご相談をいただければと思います。