頚椎神経根ブロックで治療した2人の患者さんを提示します。
おそらく日常的な治療として、この頚椎神経根ブロックを施行している整形外科はほとんどない(医大等で手術前の検査としてのみ実施されている可能性があります)と推察しています。
最初は43才の女性の事務職の方です。
数年前から肩こりがあり、他整形外科にかかっていたそうです。
X年1月27日症状が悪化し、夜間1時間ごとに痛みで覚醒する状態となり、かかりつけ整形外科を1月28日に受診し、首に局所注射を受けましたが、症状は改善せず、
2月4日に当院を受診されました。
初診時の頚椎MRI検査では、C56とC67に椎間板ヘルニアが確認されました。
私は、C67の椎間板ヘルニアが新鮮なもの(最近発症または悪化したもの)と判断しました。
症状が重度のため、最も効果が期待できる頚椎神経根ブロックの治療を勧めたところ、
患者さんが同意されたので、初診時に施行しています。
患者さんのブロックの感想は、いつもかかりつけ整形外科の局所注射より全然痛くなかったとのことでした。
6日後の再診時には、痛み(ブロック前を10として)10→0→2と経過していました。
患者さんは1年5か月後の症状再発時にも神経根ブロックを希望されて受診されました。
もう1人の患者さんは83才と高齢の女性です。
平成27年12月から令和1年8月まで3年9か月にわたり、1か月から2か月に1回のペースで
頚椎神経根ブロックを行っていた方です。
平成27年10月に腰痛と頚部痛で受診されました。
当初は腰痛と歩行障害に対して診療していました。
頚椎は全体に老化の所見が強いのですが、特にC45とC67で脊髄が重度に圧迫されていると
判断しました。
この患者さんには、頚椎の治療の前に腰痛の治療で腰椎神経根ブロックを何度か行っていて
効果を実感されていたため、首に対しても最も効果のある神経根ブロックを希望されました。
ブロックで痛み(ブロック前の痛みの最高値を10として)8→0となり、1か月持続したそうです。
以後、患者さんは3年9か月にわたり、定期的に頚椎神経根ブロックを希望され施行していました。
80代半ばの方が、注射の治療がとても痛ければ、このように自分から希望されることはないと思っています。